一般社団法人大阪代協

理事会その他の活動報告

線虫がん検査「N-NOSE」を知る!Webセミナーを開催しました

2022.02.22

 日本代協 阪神ブロック協議会は、2月19日(土)午後3時から、公開講座「線虫がん検査『N-NOSE®』を知る!」 たった1滴の尿から全身のがんリスクを高精度に判定することができたら ~日々進化する「がん」の一次スクリーニング検査~ をZoomウェビナーで開催しました。140名の視聴者が熱心に聞き入りました。

 講師は、株式会社HIROTSUバイオサイエンス・代表取締役の広津崇亮氏(写真下)です。同氏は、がん特有の匂いを嗅ぎ分けられる線虫(C.elegans)に着眼、研究し、2020年1月に簡便・高精度・安価で早期がんを発見する検査「N-NOSE」の実用化に踏み切られました。現在、検査は全国にある「N-NOSEステーション」(5か所)、「N-NOSEステーション・サテライト」(12か所)で行われているほか、希望者は自宅で摂取した尿を持参あるいは回収により受けることもできます。

 セミナーに先立ち、山中尚会長が「がんは早期発見で治ると言われている病気です。本日、N-NOSEについて知っていただき、皆さまご自身、また大切な方をお守りできればと思います」と挨拶しました。

 がんは、1981年から日本人の死因第1位で、今や2人に1人が経験し、3人に1人が死亡しています。まず、広津氏は、がんの解決は早期発見、早期治療が最重要であるにもかかわらず、いくつかの理由から日本人のがん検診受診率は3~4割程度で先進国の中で極めて低いと指摘。

 がん診断に至るまでには、大きくがんの有無(第1次スクリーニング)、がん種の特定(第2スクリーニング)、画像・組織診(精密検査)と3つの区分があります。がんの早期発見という観点からは第1次スクリーニングでの検査は欠かせません。しかし、第1次スクリーニングの検査として、便潜血検査、レントゲン検査、エコー、内視鏡検査といったものがあるものの、手軽で低コスト、痛みがなく、しかも高精度な網羅的ながんスクリーニング法は存在しませんでした。

 そこで同氏は、臨床現場で言われていた「がん患者には匂いがある」ということに注目し、機械を上回る高精度の嗅覚を持ち、しかも世界で広く飼育、研究されているポピュラーな生き物である線虫に着眼し、2013年5月から線虫ががん特有の匂いを嗅ぎ分けられるかについての研究を開始しました。簡便に採取できる尿を使って検査(N-NOSE)をしたところ、ステージ0-1の段階で87%の感度でがんを発見することが分かりました。CEAやCA19-9といった検査方法ではわずか約14%です。また、ステージ3-4においても、他の検査が約40~53%であるのに対し、N-NOSEは約9割と高い数値を示しました。

 現在、N-NOSEで1度の検査で検知できるがん種は、①胃がん ②大腸がん ③肺がん ④乳がん ⑤子宮がん ⑥すい臓がん ⑦肝臓がん ⑧前立腺がん ⑨食道がん ⑩卵巣がん ⑪胆管がん ⑫胆のうがん ⑬膀胱がん ⑭腎臓がん ⑮口腔・咽頭がんの15種です。とくにすい臓がんに関しては早期の段階で検知できるだけでも革命的と言われる中、すい臓がんとそれ以外のがん種(5大がんを含む10種)の識別においても95.5%と驚異的な感度を示しています。すい臓がん特定検査は2022年中の実用化が予定されています。

 N-NOSEは、がんの有無だけでなく、がん種の特定ができる、第1スクリーニングのみならず、第2スクリーニングの機能も兼ね備えています。実際の検査は、自動解析装置フルオート機によって行われます。人手に頼っていた頃の1日あたり検体数は検査員1人あたり約5検体程度(8時間)でしたが、今は装置1台で約250検体(16時間)と飛躍的に拡大しています。機械化によって、検査精度の向上と安定化、解析キャパシティの拡大が容易になりました。現在は、保険会社や企業、健保組合、医療機関、自治体などで導入され、2020年11月からすでに約15万人が受診しています。

 保険業界では、すでにN-NOSEをがん保険に付帯させたり、顧客に推奨したりしている生保会社や、N-NOSE高リスク者の二次検査を補償するなどアフターフォローの充実の一環として取り入れようとしている損保会社もあります。N-NOSEが普及すると、一人ひとりのがんの現状を把握することが可能になり、がん保険の商品設計にも大きく影響してくることが考えられます。保険業界では、以前は「もしもの時の保険」と考えられていましたが、現在は健康をトータルサポートするものに変わってきています。これは医学会でも同じで、「もしもの時の治療」から予防や検査により病気を早期発見する方がより多くの命を守ることができるに変わってきています。そういった意味では両業界の変化と同社の位置づけは親しいものだとして、数社の保険会社と連携しています。

 結びとして同氏は、「最近、一般の方だけでなく、保険代理店ご自身あるいはお客様がN-NOSEによってがんを早期発見することができ助かりましたといったお便りをいただくことが多くなりました。これからも引き続き関心を持っていただき、ご自身、お客様に勧めていただければ嬉しく思います」と締めくくりました。

 セミナー最後に兵庫県代協の塩谷広志会長が「医療は日進月歩で進んでいますが、やはり早期発見・早期治療が決め手になります。今、画期的な検査法であるN-NOSEが非常に注目されています。この機会にぜひ検診いただきたい」と挨拶し、終了となりました。

(記事:新日本保険新聞社)

最近の記事

月別アーカイブ

ページの先頭へ