一般社団法人大阪代協

堺支部の活動報告

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和泉支部・堺支部合同オンラインセミナーを開催いたしました

2021.01.28

和泉支部・堺支部では、代理店経営や保険本業に役立つ情報を共有しようと取組んでいます。今回参加できなかった方も次回は是非ご参加下さい。お待ちしています。

 1月22日(金)午後3時から、和泉支部・堺支部合同にて、一般社団法人日本クレーム対応協会 代表理事 谷 厚志氏(写真下)を講師にお迎えし、「お客様の怒りを笑顔に変える!クレーム対応」をテーマにオンラインセミナーを開催いたしました。
 以下は谷先生のプロフィールです。
■学生時代は、タレントとして活動するも売れない時期を経験し芸能界を引退。
■その後サラリーマンに転身、某有名企業のお客様相談室に配属される。その職場で2,000件以上のクレームに対応し「クレーム客をファンに変える対話術」を確立。
■現在は、クレームで困っている企業のために全国でコンサルティングや講演活動をされています。

 『お金をかけず、ファンを増やす法則を習得する!』

 まず「リピーター」と「ファン」の違いを説明されました。私たちは商売をやる以上、できるだけ多くの「ファン」を作ることが大切です。
■「リピーター」は、単に「モノやサービスに満足されている人」です。
■「ファン」は、「あなたから商品やサービスを提供して欲しい人」です。
実は、クレームを言うお客様はほとんどがリピーター客なのだそうです。

では、「ファン」を増やすにはどうすればいいのでしょうか?
それは、『お金をかける必要は無く、お客様を特別扱して主役にする』ことです。そして「特別扱をする」とはそのお客様の「良き理解者」になることが大切なのです。
 谷先生は、10年間毎日通う大手コーヒーショップチェーンのある店舗の「ファン」です。同じチェーン店でも他の店ではなく、その店だけの「ファン」です。その店では、谷先生の考え方や好みを従業員の皆さんが全て理解をしていて、毎回、他のお客様と違う、谷先生だけのちょっとしたサービスを提供してくれるからなのだそうです。
 「今日のセミナーでは、皆さんがこのように良き理解者になるよう考える時間にして欲しい。」と話されました。

 また、クレームには「お客様が目の前の問題よりも、自分のことを理解して欲しいからクレームを言っている」という目線で対応する事が肝心です。100回謝るより1回の理解・共感の言葉をかけることでお客様の怒りを笑顔に変えることができます。ただ何度も謝って「再発防止に努めます」と言うのではなく、お客様に「こんなことがあると嫌な気持ちになりますよね」「ご心配をおかけしたわけですよね」とお客様に理解を示す言葉をかけるがことが最も重要です。

『お客様からの「クレーム」を集めてみる』

①クレームは、お客様からのアドバイスだと考えてみて下さい。仕事の改善のヒントになります。

【具体例】
靴屋(量販店)で一番多いクレームは、「お客様が欲しい商品のサイズの在庫がない」こと。お客様に「申し訳ありません。只今在庫を切らしています」と言うと何も買わずに帰って行く。

【改善策】
「ただ、在庫が無い」と伝えるだけではなく、在庫不足をお詫びするとともに代替品を提案する。希望されるサイズの代替品を3点用意しプレゼントークを行うようにしました。すると、80%のお客様が代替品を購入し、その内40%のお客様が2足購入された。このようにクレームをヒントにして、業績を向上させることができます。

②クレーム対応次第で「ファン」を増やすことができます。

【具体例】
海外製高級ベビーカーを通販で取扱う会社、WEBの表記を「商品のお届けは、お申込みから2週間後」とすべきところ、誤って「1週間後」と掲載してしまった。すぐ間違いに気付き修正したものの、既に申込みが1件入っていた。お客様に事情を説明したが大クレームに発展した。

 【解決策】
丁寧な謝罪と、製品が到着するまでの間、国産の代替品を提案したが受け入れてもらえなかった。新たな解決策を提案するために、どうして1週間後にそこまでこだわるのか、お客様の事情を理解しようと聞き取りを行った。すると「1週間後に親戚が集まる食事会があり、そこでそのベビーカーを使っているところを見せたかった。」とのこと。話を聞いていくとさらに重要な事がわかった。「そのベビーカーを推薦し、購入金額を支払ったのは、本人が大切に考え、食事会にも参加する義母であった」ことが判明した。お客様の本当の事情が理解でき、解決策を考えたが、現物の入手はできなかった。「当社としてその義母に事情を説明しお詫びをする」という案で担当役員に相談すると、「船便を航空便に変えて輸入する。赤字となるが致し方ない」と解決策の提案を受けた。3日後に商品をお届けすることができ、お客様に「さすが●●社さんですね!まさに神対応です!」と大変喜んでいただくことができた。

 この事例の解決策はたまたまであるが、クレーム対応に臨むにあたり「お客様がクレームを言われる背景に何があるのか、その真の事情を聞き出すこと」が解決策を見出すためには必要不可欠である。後日譚となるが、上記のお客様は、フォロアーを多数抱えているブロガーで、ご自身のブログに今回の事やベビーカーの使い心地が良いと掲載すると、それを見た人から1台10万円もするベビーカーの注文が殺到し結果的に売上に大きく貢献できたとのことでした。

『クレームをなくしサービスを増やす』

 ①クレームも視点を変えれば、セールスポイントになります。

【具体例】
その旅館では大浴場が地下にあり、構造上階段を使わないと行き来できません。お客様には高齢者が多く「風呂上り階段を上るのは辛い」とクレームが多かった。

【解決策】
地下の階段付近に看板を立てた。看板には「この健康階段は、樹齢400年の樫木で作られた、とてもありがたい階段です。一段上がることで寿命が4秒延びます。」と書いた。それを見たお客様は、笑いながら階段を昇るようになりクレームは皆無となった。むしろ「おもしろい!」と好評の声が寄せられるようになった。

②価格や大手企業と同じ土俵で勝負をしない。自社の強みが何か、をしっかりと見極め、お客様にとって価値のある商品として提供する。

【具体例】
小さな書店を営む、「読書のすすめ」の清水店長の取組みです。小さな書店には新刊やベストセラーの書籍の入荷が難しく、お客様からはすぐに「在庫が無いのか」とクレームになります。そこで清水店長は独自の手法を展開されました。

【解決策】
新刊やベストセラーは販売せず、自ら読んで気に入った本だけを書架に並べる、独自の販売手法を取り入れました。訪れた客は、清水店長と会話し、悩みを打ち明け自分に合った本の提案を受けて購入することができます。清水店長に会って進めてもらった本を読んで世界が開けた人が後を絶たず、それが口コミで伝わって今では全国各地からお客様が来るほど繁盛しています。皆さんがご存じの著名人もお客様だったとのことです。

これこそが、お客様にとって価値ある商品の提供であり、感動した顧客は必ず「ファン」になるのだと思いました。

冒頭、山中会長が「本日の講師、谷先生の講演は、教えるというより楽しい話をしながら学ばせていただけます。」と話された通り、楽しくあっという間に90分間が過ぎたセミナーでした。今後のクレーム対応に役立てて、お金をかけずに「ファン」を増やして行きければ、と思います。          

(記事:堺支部 大谷記者)

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