一般社団法人大阪代協

支部

TOP > 活動報告 > 支部

令和8年2月26日(木)15:30より支部総会・第8回支部会を、大阪長堀貸会議室8階C室にて14名参加で開催いたしました。

【支部総会~議事の部】

まず、本日の議長に選任された川田副支部長進行により支部総会が行われました。
・(第1号議案)2025年度 支部活動報告および会計報告
・(第2号議案)2026年度 支部活動計画(案)承認の件
・(第3号議案)2026年度 役員人事改選(案)承認の件
以上の議案が西村支部長から提議され、全て出席者全員一致で承認されました。

来期から、西村氏(左)から川田氏(右)へ支部長バトンタッチ!

【勉強会の部】

続く勉強会の部は、『事故例から学ぶ損害対応の座談会』をテーマに行いました。今回の担当は西村支部長と奥村顕会員。日々の業務の中で実際に発生した事故事例をもとに、対応のポイントや判断の難しさ、保険の適用範囲などについて意見を交わしながら、実務に直結する学びを深める内容となりました。
単なる事例紹介にとどまらず、「自分ならどう対応するか」という視点で考えることで、参加者それぞれが現場に引き寄せて理解を深めていきます。
会場では、共感の声や新たな気づきが随所に見られ、終始活発な議論が展開されました。ベテランであっても思わず考え込む場面や、首をかしげる様子も見られ、実務の奥深さを改めて感じさせる時間となりました。

■事故例① 重なる損害、誰が払う?―共同不法行為と損害認定のリアル

無保険車との事故のその後に…別車両による同一箇所の追突が生んだ難題

農道から進入してきた無保険車との事故で、車両の右後部が損傷。
その約一週間後、まったく同じ箇所に別の車両が衝突
するという、珍しいケースが発生しました。
二度目の事故の相手は保険加入車両であったものの、保険会社は「その損傷は一度目の事故によるもの」として支払いを否認無保険の先行事故側には請求が難しく“損害はあるのに責任を取ってもらえない”状況に陥りました。
この説明に、会場では思わず首をかしげる参加者の姿も。
ベテラン会員でさえ「これはどう整理する?」と一瞬言葉を探す場面が見られ、事案の難しさが印象づけられました。

突破口は“共同不法行為”―理屈と現場の落としどころ

この行き詰まりを打開するヒントとなったのが「共同不法行為」の考え方です。
複数の事故が同一の損害に関与している場合、いずれの加害者にも請求できるという整理になります。弁護士の関与により交渉が進んだ結果、後続事故側の保険会社も一定の損害を認め、最終的には一部支払いでの解決に至りました。
本来であれば全額請求も可能な場面ですが、実務では損害の切り分けや相手方の事情も踏まえた判断が求められます。理屈としての正しさと、現場での着地点――その間をどう埋めるかという“実務のリアル”が共有されるとともに、車両保険や弁護士特約の重要性も改めて認識される内容となりました。

■事故例② 円満でも防げない?―帰国後に届いた高額請求と補償の落とし穴

「関係は良好だったのに…」帰国後に届いた3,000万円請求

技能実習生が作業中に足を骨折し、約3か月入院。療養中も社長との関係は良好で、そのまま実習期間を満了し帰国しました。ところが帰国から半年後、弁護士を通じて約3,000万円の損害賠償請求が到着
この展開に、会場からは思わず「あちゃ~~…」という空気が広がり、事態の重さが共有されました。
事情を確認すると、「社長には申し訳ないが、現地の家族の意向や間に入った人物の関与で請求に至った」とのこと。
円満に終わったはずの事故でも、帰国後の環境や第三者の介入によって状況が一変する――そんなリスクが現実のものとして印象づけられました。

補償を絞った結果…実務で痛感する“限定特約のリスク”

当該企業は業務災害保険に加入していたものの、補償内容を「死亡のみ」「後遺障害限定」に絞っていたため、今回の請求は対象外。結果として、最終的には約600万円での示談となりました。
さらに、傷害保険でも入院給付金は請求できたものの、海外に帰国した本人との書類のやり取りに苦慮。メールでのPDF対応により何とか支払いに至ったものの、手続き面の難しさも浮き彫りとなりました。
「もし限定していなければ、もっと対応できたのでは…」そんな振り返りとともに、会場では保険設計の在り方について改めて考えさせられる空気に。
価格を抑えるための限定特約が、いざという時の対応力を狭めてしまう――。
企業を守るためには、想定外も含めた備えが不可欠である
ことを実感する事例となりました。

■事故例③ その風は“災害”か?―厳格化する風災認定と査定の壁

「施工ミスで免責」新築住宅で覆らない査定判断

強風が吹いた際、築5年未満の住宅で雨樋の脱落と屋根の一部破損が発生。
風災としての保険対応が期待されましたが、保険会社の鑑定では「ビスの数不足による施工ミス」と判断され、免責となりました。
納得がいかず、別の専門鑑定人による再調査やドローンを用いた確認、工務店を交えた検証まで実施。
しかし結果は変わらず
最終的には弁護士名で「当時の最大風速では風災認定に至らない」とする見解が示されました。この経緯に、会場では「わかるわかる」「自分も同じようなケースで支払われなかった」といった声が重なり、各自の経験を思い起こすような空気が広がりました。

“異常気象でなければ認めない”―高まるハードルと実務の難しさ

近年、保険会社では風災の認定基準が厳格化しており、「異常気象と呼べるレベル」であることが求められる傾向にあります。かつては一定の風速で認定されていたケースでも、現在はより高いハードルが設けられています。
今回も、観測上は強風が確認されていたものの、最終的には「劣化や施工要因」との判断に。
一度“支払わない”という結論が出ると、それを覆すことの難しさが改めて浮き彫りとなりました。
さらに、雨樋などの部位はもともと査定が厳しく、交渉の中でも大きなハードルに。
実務の現場では、「どこまでが風災か」を巡る判断が年々シビアに
なっており、事前の説明や期待値のコントロールの重要性を考えさせられる事例となりました。

本日の登壇者の面々。自身の体験を熱く語ります!

■事故例④ それも請求されるの?―スマホ破損と“間接損害”の線引き

本体だけじゃ終わらない?思わぬ追加請求

生成AIによるイメージ画像。いい仕事しますね(笑)

「生ビールお待たせしました!」
店員がジョッキをテーブルに置いたその下には、来店客のスマートフォン。気づかぬまま置かれたジョッキの重みで、画面はバキバキに破損――飲食店で実際に起きた、そんなヒヤリとする事例が紹介されました。来店客は後日携帯ショップへ向かい、10数万円の最新機種に買い替え。その費用の請求がなされました。
さらに問題となったのはその後です。
機種変更により従来の料金プランが適用できなくなり、月々の利用料金が上がった分も補償してほしいとの要望が出てきました。この展開に、会場では思わず苦笑まじりに「そこまで来るか…」という空気も広がり、身近なトラブルならではの難しさが共有されました。

補償の範囲はどこまで?―“直接損害”と“間接損害”の壁

賠償責任保険で補償されるのは、あくまで直接的な物の損害が基本。
今回でいえばスマートフォン本体の損害が対象となり、料金プラン変更による月額の増加分といった“間接損害”は原則対象外となります。実務上は、旧機種との価格差の調整などを行いながら解決を図ることになりますが、すべての請求に応じられるわけではありません。「どこまでが補償されるのか」を事前にしっかり理解し、説明できるかどうか。日常的に起こり得る事案だからこそ、基本に立ち返る大切さを改めて感じさせる一例となりました。
なお、この事故を担当した報告者は、それ以来、飲食店でテーブルやカウンターの上にスマートフォンを置かなくなったとのこと。そんな“ちょっとした教訓”も印象に残る事例でした。

■事故例⑤ それ、補償できるの?―鉄骨資材のサビと運送保険の盲点

「雨に当たっただけでアウト」鉄材ならではのシビアな損害

運送中の鉄骨資材が雨にさらされ、サビが発生した事例。
一見すると軽微にも思える水濡れですが、メッキ加工されていない鉄材は非常にデリケートで、わずか10分程度の雨でもサビが進行してしまいます。
「これ、保険でいけるのか…?」そんな反応が会場でも見られ、判断に迷うケースとして関心が集まりました。

鍵は“オールリスク”―運送保険ならではの補償範囲

運送保険の補償範囲を確認。

当初は補償が難しいと考えられていたものの、適用されたのは運送保険における「オールリスク」条件。これにより、突発的な水濡れによるサビ損害も補償対象として扱われ、解決に至りました。
運送保険は、いわゆる賠償責任保険とは異なり、貨物そのものの損害を広くカバーする設計。
会場でも「運送保険はあまり意識してなかったけど、そんなケースでも出るんやな」「それは払われてよかったなあ」といった声が上がり、意外性とともに理解が深まる場面となりました。普段あまり意識しない分野だからこそ、「こんなケースも対象になるのか」と印象に残る内容に。
運送保険の補償範囲を改めて見直すきっかけとなる事例です。

■事故例⑥ 誰がどこまで責任を負う?―火災事故と元請・下請の責任分担

ドライヤー出火で900万円超―複雑な現場で揺れる責任の所在

ホテル浴室の塗装作業中、乾燥を早めるために使用していたドライヤーから出火。
この火災により、浴室の復旧費用約800万円に加え、営業停止による休業損失約100万円、計900万円規模の損害が発生しました。現場は元請け・一次下請け・二次下請け(実作業は一人親方)という複雑な体制。事故後は、責任の所在をめぐってそれぞれが線引きを主張し、簡単には折り合いません。
一次下請を通じて確認すると、当初は「二次下請が全責任を負うべき」として関与しないスタンスも示されました。しかし、実際の作業は一人親方などの協力会社。指示系統や報告体制をたどると、単純に“火を出した者がすべて負う”では片付かない構図が浮かび上がります。

簡単には折り合いはつきません・・・

ポイントは“共同不法行為”と実務の段取り。一旦支払い、後で精算

最終的な整理の軸となったのは「共同不法行為」の考え方でした。複数の関係者が関与する事故では、まず一方が損害を立て替え、その後に過失割合に応じて精算していくのが実務上の基本的な流れとなります。今回も、保険会社間の調整を経て一旦支払いが行われ、その後、関係各社で求償・精算を進める形で解決へ。
結果として、実作業に起因する部分と管理責任の双方を踏まえた分担がなされました。
もっとも、本来は元請け側で保険対応を行い、その後に下請けへ求償する形が理想とされますが、実務上は各社の思惑もあり調整は容易ではありません。また、賠償責任保険ですべてがカバーされるわけではなく、工賃や一部費用が対象外となるケースもあります。
複雑な現場ほど「誰が・どこまで・どう備えるか」が問われる――。
そんな実務の本質を改めて考えさせられる事例です。

■事故例⑦ その請求、本当に妥当?―物損事故と高額請求への対応

数万円のはずが600万円に。一気に様相が変わった交渉

造園業者が庭の剪定作業中、隣家ガレージの屋根を破損させてしまった事例。
当初は数万円程度の軽微な損害と見られていました。しかしその後、相手方から提示されたのは600万円という高額な見積もり指定業者による見積もりとされていたものの、金額の乖離は明らかで、関係者の間で安易に応じるべきではないとの認識が広がりました。
「えらいのにあたってもうたなあ…で、どうなったん?」
会場でも、対応の難しさに共感しつつ、その後の展開に関心が集まりました。

個人対応は危険。専門家の介入で適正な着地へ

調査を進めると、相手方は特定の団体関係者であり、通常の交渉とは異なる慎重な対応が求められる状況でした。このようなケースでは、当事者同士での対応はかえってリスクを高める可能性があります。本件では、保険会社を通じて弁護士が介入し、法的観点から請求内容の妥当性を精査
交渉の結果、最終的には約60万円程度の適正な水準で示談が成立しました。賠償責任保険そのものの補償に加え、弁護士費用特約の活用が大きな役割を果たした形です。
「保険は支払うためだけのものではなく、交渉を支える機能もある」
そうした側面を実感させる事例となりました。

■番外編 ミスを防ぐ仕組みづくり―日々のタスク管理と報告の工夫

日々の業務におけるミスや「ヒヤリハット」を未然に防ぐため、各々が実践している管理手法についても意見交換が行われました。
まず基本となるのは、「記録と共有の徹底」です。
顧客からの依頼や変更事項は、スプレッドシートやExcelに必ず記録し、事務スタッフと共有。システムへの入力漏れがないか、ダブルチェックを行う体制が有効とされています。
また、外出先で受けた連絡など、その場で処理しきれない案件については、LINEなどのリマインド用グループに投稿しておく運用も効果的です。
「一度受けた情報を、そのままにしない」――こうしたシンプルな仕組みが、抜け漏れ防止につながります。
中でも印象的だったのが、「完了報告」の徹底です。
顧客から「報告は不要」と言われている場合でも、あえて完了連絡を行うことで、自社内の最終確認プロセスとして機能させるという考え方です。
電話対応などで作業が中断された際に起こりがちな「やったつもり」を防ぐためにも、こうした多重のチェック体制と報告のルール化が重要であることが共有されました。
事故を防ぐのは特別な仕組みではなく、日々の小さな積み重ね――。
その重要性を改めて実感する内容となりました。

■まとめ

今回の勉強会では、身近に起こり得る事故から大規模損害、さらには交渉対応や日々の業務管理に至るまで、幅広い事例と実務のポイントが共有されました。賠償責任保険や各種保険が果たす役割を再確認するとともに、「保険ですべてが解決するわけではない」という現実も改めて浮き彫りとなりました。
語り手は自身が対応した事故事例を振り返ることで、あらためて実務の重要性を再確認し、気持ちを引き締める機会に。一方で聴き手にとっても、日々の業務に直結する多くの気づきを得る、実りある時間となる勉強会となりました。今回得られた学びを、今後のリスク対応力の向上につなげていきましょう。

【議事の部~懇親会へ】

勉強会の後は理事会・委員会報告を行い、西村支部長作成の資料を基に情報を共有しました。

支部会の後は恒例の懇親会。ミナミへと繰り出し、美味しい料理とお酒、会話を堪能する楽しい時間を過ごしました。

みなさん!今期もお疲れさまでした(*´▽`*)

来期も良い支部になるよう、皆で盛り上げていきましょう!

(記事:南支部 田中記者)

支部

>資料集

委員会

>資料集
ページの先頭へ