一般社団法人大阪代協

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小さな企業のブランドづくりを学ぼう!Webセミナーを開催しました

2022.03.28

 日本代協は、3月16日(水)午後3時から、静岡県立大学経営情報学部教授で日本代協アドバイザーの岩崎邦彦氏を講師に招き、「小さな企業のブランドづくりを学ぼう!」をテーマに特別Zoomセミナーを開きました。講演で岩崎氏は、地域の小規模企業が強いブランドを生み出すためにするべきことやデジタルではできない価値のつくり方などについて考察しました。

 講演に先立ち、当日の司会進行を務めた日本代協の野元敏昭専務理事が挨拶。同氏は「日本企業の99.7%を占める中小企業が元気になれば日本経済も元気になります。中小零細企業は規模が小さいことを嘆くのではなく、小規模の強みを生かすという発想が欠かせません。小規模をいかに力に変え、ブランドを構築していくかが大事です。保険代理店のみならず、代理店のお客様である地域のさまざまな企業にとって本日の講演が参考になれば幸いです」と述べました。

 講演の冒頭で岩崎氏は、コロナ禍の悪影響をあまり受けていない企業には共通するものがあるとし、それは「その企業に強いブランドがあることだ」と強調しました。例えば、同じ価格で同じ味、同じ品質の異なるメーカーのペットボトルのお茶でも、消費者から選ばれるものと選ばれないものに差が出るのはブランド力があるかどうかの違いであり、保険代理店でもまったく同じことが言えると述べました。同氏は「品質は重要だが、それは備わっていて当たり前。品質を土台としてそのうえにブランドという『とんがり』を乗せるという考え方が必要で、企業とりわけ小規模企業がブランド構築するために最初にすべきことは、このような考え方を組織内で共有し、ベクトルを合わせることだ」と強く訴えました。

 一方、今の時代におけるブランドづくりでのNGワードは「平均」「平凡」「まあまあ」「無難」といったものだとして、消費者から平均的な企業、無難な企業と評価される企業はブランド力が少なく、「無難は難有り」という意識を持たなければいけないと指摘しました。

 こうしたことから岩崎氏は、ブランドというものは売り手の中にあるのではなく、買い手の心の中にあるものだと強調。買い手がイメージを浮かべてくれなければ選ばれず、買い手が描いてくれる自社へのイメージこそがブランドなのだと述べました。
 買い手がイメージする企業の強いブランドがどのようなものかについては、経営者1000人と消費者1000人に調査した結果を引き合いに出して説明。経営者1000人に強いブランドの条件を調査したところ、上位4つの回答は「コンセプトが明確、イメージが明快」「感性に訴求していること」「情報発生力(パブリシティ)」「口コミ発生力」といった結果になりました。また、消費者1000人に同様の調査をした結果も「コンセプトが明確、イメージが明快」「感性に訴求していること」「独自のポジション」「低価格ではない」であったとし、この調査結果から「コンセプトが明確、イメージが明快」「感性に訴求していること」が強いブランドの条件といえることが分かると述べました。

 さらに、同氏は、ブランドづくりをする際には他社の模倣や二番煎じをするべきではないと指摘。「自分の優れているものと自分に不足しているものの2つを自問すると、多くの人は後者に意識がいくが、友人の優れているところと友人に不足しているところを考えると、今度は多くの人が前者を意識することになる。企業も同様で、自社に不足していて他社が優れているものに意識が向いてしまいがちで、いわゆる隣の芝生が青く見えてしまう」と述べました。その上で「ブランドづくりの発想で大切なことは、自社にあって他社にないものに着目し、決して他社のまねをしない、いわば自分の芝生をより青くするという考え方。大切なものは(自社の)足元にある」との考えを示しました。そして最後に、「繰り返しになりますがブランドは買い手の心の中にあるものです。企業にとってブランドは一朝一夕につくることはできません。継続的に構築していかなければいけないものなのです」とまとめました。

 講演終了後は視聴代理店から多くの質問が寄せられ、それに回答しました。「保険代理店は専属代理店と乗合代理店に分かれるが、どちらが優位か」といった趣旨の質問に対しては「本日はブランドづくりにフォーカスしたテーマで講演したため、その観点で言えば、『商品』や『販売』というワードを用いる時点で売り手の発想になってしまいます。(専属か乗合かを問わず)『不安解消』という発想に立ち、売るではなく買うという視点に立てば、発想がガラッと変わると思います」と回答しました。

 また、「保険代理店はお客様にとってイメージを想起しにくい職種だと思うが、いかがでしょうか」という問いには「確かにイメージがわきにくいという点もあるかもしれません。しかしそれは、『保険』や『代理店』を主語にしているからではないでしょうか。そうではなく、買い手の視点に立って『不安解消』というようなものを主語にする事業に再定義してみることも必要なのかもしれません」と回答しました。

(記事:新日本保険新聞社)

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