一般社団法人大阪代協

組織委員会の活動報告

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代理店賠責セミナー2025開催

2025.09.02

大阪代協Webセミナー「コンプライアンスと代理店の賠償責任~消費者に信頼される代理店になるために~」が、8月27日(水)午後3時から、代理店会員、保険会社社員などを含め大阪380名、兵庫130名、和歌山50名の総勢500名を超える参加者のもと、開催されました。講師は、日本代協新プラン委託講師の杉山幹久氏です。

※大阪代協 新谷会長

大阪代協新谷会長挨拶

開催にあたり、新谷香代子会長が挨拶に立ち「私たちは、保険金をお支払いしてお客様に役立つ一方で、トラブルも数多く発生しています。代理店賠責を引き受けるチャブ損害保険には年間1千件を超える相談、150件ほどの事故報告があるそうです。保険会社の皆様は、保険会社、代理店のお互いのためにも代理店賠責に加入いただくよう代理店にお勧めください。代協に未加入の代理店様もこの機会にぜひお手配ください。代理店賠責なしで保険を販売することは、無保険で自動車を運転するようなものです。非常に危険なことだと思います。」と、代理店賠責への加入を呼びかけました。

※Chubb損害社委託講師 杉山幹久氏

代理店賠責セミナー

年間1400件寄せられるトラブルの相談

セミナーの冒頭、杉山氏は、昨年7月からの1年間に全国の代理店から1400件、1日に6件、自らの保険募集行為に関する相談があると話し、いかに日常的にトラブルが発生しているかを指摘。日本代協の約9割にあたる代理店が同保険に加入していることを考えると、約14%の会員代理店がヒヤッとした経験をしている実情を述べました。

続いて、損保代理店のコンプライアンスについて、元金融庁長官の五味廣文氏の「コンプライアンスは、『知識』よりも『意識』が職員に根付いているかが本質である」というコメントを紹介。加えて、「プロフェッショナル」について触れ、これは公共の福祉に貢献すること、専門職に値する技術と知識を有していること、倫理性を担保する自律を全うすることという3つの使命を負っており、まさに保険代理店に求められる使命と同じであり、コンプライアンスの本質とともに理解いただきたいと述べました。また、関東財務局が行ったヒアリングにおいて「ルールの本質をしっかり理解していないと、環境変化に十分対応、改善ができない」という見解とともに、代理店の実態に応じてたびたび改定される監督指針は注視しておかなければならないと強調しました。

そして、基本的なルールを定めた法律について解説。とりわけ2008年に消費者保護の観点から成立した「保険法」により告知義務の概念が大きく変わり、2016年の改正「保険業法」によって代理店は意向把握、情報提供、募集人体制整備といった義務を負うことになり、保険募集、代理店経営のハードルが高くなったと指摘しました。また、顧客からすると、代理店と保険会社は一体であると認識されており、代理店は代理店委託契約書を熟読し、代理権限などを十分に理解しておくことが大切だと述べました。

「つい・うっかり・うろ覚え」は保険業法300条違反

保険募集の基本的ルールである意向把握義務については、従来の意向確認に加え、募集プロセスにおいて、顧客ニーズに合致した保険商品を適切に選択・購入できるようにするための対応が求められると説明。また、情報提供義務は、原則として「契約概要」「注意喚起情報」を記載した書面(例:重要事項等説明書)等を用いるなどの一律・画一な手法で行われることであるとし、特に重要事項説明書を常備・携行しこれを提示しながらお客様に説明することの重要性を強調しました。とくに「つい・うっかり・うろ覚え」は虚偽説明につながるとし、これによって代理店が敗訴した裁判事例を紹介。同氏は、虚偽説明につながりやすいものとして携行品特約や増加傾向にある新種保険を挙げ、トラブルになるケースが多いと注意を促しました。

意向把握義務では、ある全国規模の代理店が実践している「3プラス1運動」を挙げ、1人のお客様に1回2時間の説明を3回行ってから契約へと導き、さらにその後にお客様に届いた保険証券を持って来店していただき、そこでお客様の意向と契約内容が合致しているかをもう一度説明するといった、予習・復習的に意向把握する取り組みが求められるとしました。

続いて、代理店と法律上の責任について、代理店賠責の対象となるのは過失等により第三者に損害を与えたときに発生する損害賠償責任、すなわち民事上の責任で、刑事上の責任や行政上の責任は対象とならないと述べ、民事上の責任の根幹をなす「不法行為責任」と「債務不履行責任」、さらに「信義誠実の原則」について代理店の責任を認めた東京地裁判決(1994年3月11日)を挙げ、解説しました。

同氏は、保険契約者の保護、所属保険会社の保険募集人に対する教育指導等の責任を定めた保険業法第283条(所属保険会社の賠償責任)についても解説。これは、保険募集を行った際に、保険募集人に生じた民事上の損害賠償責任について、その所属会社が負うとした規定であり、民法715条(使用者責任)の特則であるとし、最近は保険会社が積極的に求償権を行使し始めていると話しました。

実際に発生した24類型のトラブル事例を紹介

杉山氏は、具体的に争われた24のトラブル事例を挙げた後、「言った、言わない」「口座振替不能」「事故受け付け時に無責のものを有責であると回答した場合」によるトラブルは法律上の賠償責任を問われることは比較的少ないと述べる一方、「オールリスク」「すべて同じかそれ以上」という言葉は何かあったときにトラブルにつながりやすく避けた方が良いとアドバイスしました。

そして最後に、「事故相談機能」「保険金準備機能」を備えた代理店賠償責任保険は保険募集において必要不可欠であると訴えるとともに、その遡及日に十分注意して加入してほしいと結びました。

大阪代協からの情報提供

セミナー終了後、組織委員会の守屋仁志委員長が、代理店の実務に沿った情報提供を行いました。

各社のロードサービス内容比較

保険会社によって微妙に異なるロードサービス内容が比較できるサイトが紹介されました。
(JAFFのHPからアクセスできます)

各社の自動車保険商品内容比較

比較推奨販売に役立つ自動車保険内容を3社並列で比較できるサイトの存在が紹介されました。
(日本損害保険協会のHPからアクセスできます)

自己点検チェックに役立つ日本代協アカデミー

募集人の教育・管理に関する体制整備要件を満たす、教育管理ツール、日本代協アカデミーが紹介されました。

続いて、ヒヤリハットあるいは普段想定していないが誰にでも起こり得る事例とトラブルを避けるための注意点を説明するとともに、重ねて保険会社、代理店に代理店賠加入への協力を求め閉会となりました。

※大阪代協 守屋組織委員長

(記事:新日本保険新聞社)

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